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講演会・セミナー・学会

特別講演 「NASAにおける最新宇宙研究」が開催されました

平成25年5月13日(月)、アメリカNASAジョンソン宇宙センターの宇宙放射線研究の総責任者であるクチノッタ博士(Dr. Francis A.Cucinotta)と日本から渡米しNASAで最前線の研究をされている秦博士の特別講演が、大阪市立大学医学部4階 大講義室で開催されました。(大阪市立大学学生、大学院生、教職員、その他興味のある方々対象。)
この講演会では、ヒト長期宇宙滞在における宇宙放射線の影響についてお話しいただきました。NASAが目的とする有人火星探査を視野においた研究など、大変興味深い講演会となりました。
開催概要
平成25年5月13日月曜日 17:00~18:00
日時
大阪市立大学医学部 4階 大講義室
場所
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案内用ポスター

プログラム

【1】歓迎のあいさつ 遺伝子制御学 森田 隆 教授
荒川 哲男 医学研究科長
【2】特別講演1 Dr. Megumi Hada 秦 恵(Research Scientist, USRA/NASA, Houston, USA)
Biomarker for Space Radiation Risk: Cytogenetic study of heavy ion-induced chromosomal damage in human cells
宇宙放射線リスクのバイオマーカーについて:重粒子線によるヒト細胞の染色体に対する損傷の研究(日本語)
【講演要旨】
長期宇宙滞在を考える場合、宇宙環境に含まれる高エネルギーの陽子や重粒子線の健康へのリスク評価が必要である。我々は宇宙放射線によるDNA損傷を定量化するバイオマーカーとして、発がんとの関係が知られている染色体異常を利用している。実際に、宇宙飛行士の末梢血リンパ球で研究を行った結果、宇宙飛行士個人で宇宙放射線に対する感受性が異なること、国際宇宙ステーション滞在後は染色体異常が増加することが明かとなり、火星探査など宇宙飛行士を選ぶ際にも、そのような要因が考慮されるべきと考えられた。我々は、さらにヒト線維芽細胞、上皮細胞およびリンパ球に加速器を用いて低線量で重粒子線を照射した結果、細胞間での相互作用(バイスタンダー効果)や繰り返し照射により染色体異常が増加することが明かとなり、宇宙放射線による被ばくのリスク評価には、低線量での長期的被ばくの詳細な研究が重要であると考えられた。
【3】特別講演2 Dr. Francis A. Cucinotta (Chief Scientist, NASA Houston TX, USA)
Space Radiation Risks for Exploration Missions to Mars
有人火星探査における宇宙放射線のリスク (英語) 
【講演要旨】
現在NASAでは、有人火星探査ミッションが計画されている。しかし、宇宙飛行士にとって銀河宇宙線(高エネルギーの陽子や高エネルギー荷電粒子)や太陽粒子線(低中エネルギーの陽子)による被爆は重要な問題である。とくに、高エネルギーの荷電粒子は生物への影響が地上での低エネルギーの放射線より大きいと考えられる。ヒトへの将来的な影響を予測するには、まだ不確実なところがあるが、これらの放射線は、発がんや白内障や心臓疾患、急性放射線症、その他、中枢神経系へ影響すると考えられる。NASAは、有人火星探査に対して死亡リスク(REID)を95%の信頼度で3%以下になるように設定し、それに対して、発がん、心臓疾患などのリスクを科学的に定量化しミッションの危険度を推定している。現在、有人火星探査を推進するために、遮蔽、防御薬、飛行経路、宇宙飛行士の適性など、リスクを軽減できるよう基礎科学的なアプローチを行っている。
【4】記念品贈呈
【5】質疑応答

講演会の様子